障害年金
障害年金の加算適用が拡大されました。
- 障害年金の加算要件
- 平成23年3月31日以前は、障害年金の受給権が発生した時点で、
- 障害基礎年金:生計を維持している子(18歳年度末までの子、または20歳未満で1級・2級の障害の子)がいる場合、加算されます。
- 障害厚生年金:生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、加算されます。
- 平成23年4月1日以後は、上記に加え受給権発生後にに新たに生計を維持することになった子や配偶者にも拡大された。(国民年金法統の一部を改正する法律ー平成二二年法律二七)
- 受給権発生後、23年4月1日以後に生計を維持する子や配偶者を有することになった時点で、加算されます。
- 受給権発生後、平成23年3月末までの間に生計を維持する子や配偶者がいるときは、平成23年4月1日から加算されます。
- 1級・2級の障害厚生年金の受給者で、受給権発生後に結婚したために配偶者が加給年金額の対象でなかった場合も、配偶者が平成23年3月末までに65歳になっていれば、平成23年4月1日から配偶者の老齢基礎年金に振替加算が行われます。
- 平成23年3月31日以前は、障害年金の受給権が発生した時点で、
障害年金
障害年金は、いずれかの年金制度の被保険者が思わぬ事故や病気で障害が残った場合に受給要件を満たしている場合に支払われる障害給付です。
- 国民年金(第1号被保険者・第3号被保険者):障害基礎年金
- 厚生年金・共済組合(第2号被保険者) :障害厚生年金・障害共済年金
障害年金の受給イメージ
障害年金の給付は、障害の程度により、次のようなイメージになります。
障害基礎年金(国民年金)
受給要件
障害基礎年金は、次の要件をすべて満たしたときに支給されます。
- 初診日において次のいずれかに該当すること(初診日要件)
- 被保険者であること
- 被保険者であった方で、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。
- 障害認定日において、その傷病により障害等級1級又は2級に該当する程度の障害状態にあること。
- 初診日の前日における保険料納付要件を満たしていること。
障害認定日
- 原則
障害認定日は、次の①または②のいずれかの日の早い方をいう。- ①初診日から起算して、1年6月を経過した日
- ②①の期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日
- 特例
初診日から1年6カ月以内に、次の①~⑦に該当する日があるときは、その日が障害認定日となる。- ① 人工透析療法を行っている場合は、透析を受けはじめてから3月を経過した日
- ② 人工骨頭、または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換した日
- ③ 心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、または人工弁を装着した場合は、装着した日
- ④ 人工肛門、または新膀胱の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設、または手術を施した日
- ⑤ 切断、または離断による肢体の障害は、原則、切断、または離断した日
- ⑥ 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
- ⑦ 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
保険料納付要件
- ①【原則】初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上が保険料納付済期間・保険料免除期間(学生納付特例の期間も含む)であること。
- ②【特例】初診日が平成28年4月1日前の場合、65歳未満であって、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間が保険料納付済期間・保険料免除期間(学生納付特例含む)であること。
障害基礎年金額(平成22年度)
子の加算額(平成22年度)
- 加算の要件
受給権者が権利を取得した当時、その方によって生計維持していた子であって、次の①又は②に該当する子であること- ①18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子
- ②20歳未満であって障害等級1級又は2級に該当する程度の障害状態にある子
- 加算額
対象となる子 2人目までの子 3人目以降の子 加算額(1人あたり) 227,900円 75,900円 - 加算額の増額改定
受給権取得当時胎児であった子が生まれたときは、生まれた月の翌月から加算される。 - 加算額の減額改定
加算対象である子が次の場合いずれかに該当した場合には、加算額が減額される。
失権(受給権の消滅)
次の場合に該当するに至ったときは、受給権は消滅する。
- 併合認定が行われたとき(従前の障害基礎年金の受給権
- 死亡
- (1)障害厚生年金の障害等級3級に該当する障害の状態にない者が65歳に達したとき。ただし、(2)65歳に達したときに障害等級3級に該当しなくなったときから3年を経過していないときは3年を経過したとき
支給停止
- 支給停止(すべての障害に適用)
- 20歳前障害に基づく障害年金の支給停止・支給制限
20歳前障害による障害基礎年金は上記の支給停止事由に加え、以下の支給停止又は支給制限事由がある。- 支給停止
- 恩給法に基づく年金給付(増加恩給等を除く)、労働者災害補償保険法の年金給付、その他政令で定める年金給付を受けることができるとき
- 刑事施設、労役場等の施設に拘禁されているとき
- 少年院等の施設に収容されているとき
- 日本国内に住所を有しないとき
- 支給制限
- 受給権者の前年の所得が、政令で定める額を超えるとき 、前年の所得により全部又は2分の1に相当する部分が支給停止
※「政令で定められる額」とは
①根拠法令‥‥国民年金法施行令第5条の4第1項、同第2項
扶養親族が0人のとき‥‥360万4千円
扶養親族があるとき‥‥360万4千円に、扶養親族1人につき
38万円を加算した額
②扶養親族に関する加算(当該扶養親族1人につき)
通常の扶養親族‥‥38万円
老人控除対象配偶者又は老人扶養親族‥‥48万円
特定扶養親族‥‥63万円
③2分の1支給停止
①と②により計算した額が
「360万4千円 + 38万円×扶養親族数」超えたとき
④全額支給停止
①と②により計算した額が
「462万1千円 + 38万円×扶養親族数」を超えたとき
- 受給権者の前年の所得が、政令で定める額を超えるとき 、前年の所得により全部又は2分の1に相当する部分が支給停止
- 支給停止
未支給年金
障害基礎年金の受給権者(未請求者も含む)が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができます。
障害厚生年金(厚生年金保険)
受給要件
障害厚生年金は、次の要件をすべて満たしたときに支給されます。
- 初診日において、被保険者であること(初診日要件)
- 障害認定日において、その傷病により障害等級1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にあること
- 初診日の前日における保険料納付要件を満たしていること
※障害認定日及び保険料納付要件の定義は、国民年金と同じです。
※[参考] 障害共済年金の受給要件
- 組合員の期間中に初診日あること
- 障害認定日において、障害等級1級、2級又は3級に該当する程度の障害の状態にあること
※掛金納付要件はありません。
障害厚生年金額(平成22年度)
障害厚生年金額は、現状次の計算式で算出した額になります。
※平成22年度
- 給付乗率(※)の生年月日による読み替えはありません。
- 被保険者期間の月数
障害厚生年金の支給事由となった障害に係わる障害認定日の属する月後の被保険者期間は計算の基礎とされません。つまり、障害認定日の属する月までの被保険者期間が計算の基礎となります。
- 被保険者期間の月数が300月に満たない時は、300月として計算します。
- 【特例】国民年金法による障害基礎年金が受給できない場合の最低保障額:
- 障害基礎年金を受けることができない方に支給される障害厚生年金の額が障害基礎年金2級の額の3/4に満たないときは、当該額が障害厚生年金の額とされる。(平成22年度:594,200円)
配偶者加給年金額
- 障害等級1級又は2級に該当する方に支給される障害厚生年金は、受給権者がその権利を取得したとき、
その方によって生計維持されていた65歳未満の配偶者があるとき加算される。 - 加給年金額:227,900円(平成22年度)
- 特別加算はありません
- 障害等級3級には加算されません。
- 子に係わる加給年金額は適用されません。
失権(受給権の消滅)
次の場合に該当するに至ったときは、受給権は消滅する。
- 併合認定が行われたとき(従前の障害厚生年金の受給権)
- 死亡
- (1)障害厚生年金の障害等級3級に該当する障害の状態にない者が65歳に達したとき。ただし、(2)65歳に達したときに障害等級3級に該当しなくなったときから3年を経過していないときは3年を経過したとき
支給停止
- 支給停止(すべての障害に適用)
未支給年金
障害厚生年金の受給権者(未請求者も含む)が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができます。
事後重症(国民年金・厚生年金共通)
障害認定日において、その傷病により障害等級に該当しなかった方が、障害認定日以後65歳に達する前に障害等級1級又は2級(厚生年金は1級、2級又は3級)に該当する障害の状態になったときに、65歳に達する日の前日までの期間内に障害基礎年金(障害厚生年金)の支給を請求できます。
- 初診日要件及び保険料納付要件を満たしている必要があります。
- 請求することによって初めて受給権が発生し、支給は請求月の翌月からになります。
- 繰り上げ支給の老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権者は、支給されません。
基準障害(国民年金・厚生年金共通)
障害等級に該当しない程度の障害(先発の障害)の方が、新たに傷病に係わり(基準傷病)、障害認定日以後、65歳に達する日の前日までの間において、基準傷病に係わる障害(基準障害)と先発の障害とを併合して初めて、障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に至ったときに支給されます。
- 初診日要件及び保険料納付要件は、基準傷病に係わる初診日で見ます。
- 繰り上げ支給の老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権者は、支給されません。
- 併合して初めて受給権が発生しますので、65歳以後でも請求可能です。また、支給は請求のあった月の翌月からになります。
20歳前傷病による障害基礎年金
初診日において20歳未満であった方が、次の①又は②のいずれかの日において障害等級1級又は2級に該当する程度の障害状態にあるときに支給される。
- ①障害認定日以後に20歳に達した時、20歳に達した日
- ②障害認定日が20歳に達した日以後であるときは、その障害認定日、65歳に達する日の前日までにの間に障害等級1級又は2級に該当する程度の障害状態となったときは、その間に請求できる。
- 本人が保険料を納付していないため、以下のように所得制限があります。
こちら も参照
- 20歳前の第2号被保険者期間中に初診日のある障害基礎年金は、通常の障害基礎年金が支給される。
- 本人が保険料を納付していないため、以下のように所得制限があります。
併合認定
障害基礎年金(障害厚生年金)の受給権者に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金(障害厚生年金)が支給される。尚、従前の障害基礎年金の受給権は消滅する。
- ※厚生年金の場合、受給権を取得したときから引き続き障害等級1級又は2級に該当しない受給権者は、除きます。つまり、初めから障害等級3級の障害厚生年金の受給権者には、併合認定は適用されないということになります。
- ※旧法と併合したときは受給権は消滅せず、選択することができる。
年金額の改定
- 障害の程度が変わった場合の年金額の改定
障害の程度が変わったときは、次の方法で改定される。- 社会保険庁長官の診査(職権)
- 受給権者の請求により年金額が改定される。
- ※受給権者の請求は、障害基礎年金の受給権を取得した日又は社会保険庁長官の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければできない。
- ※障害等級3級の障害厚生年金の受給権者は、65歳以後に障害の程度が増進しても,年金額の改定請求ができません。
- その他障害(受給権者が障害等級に該当しない障害)を負った場合の改定
障害基礎年金の受給権者が障害等級に該当しない障害を負った場合で、65歳に達する日の前日までの間に前後の障害を併合した障害の程度が受給中の障害基礎年金の障害等級よりも増進したときは、社会保険庁長官に年金額の改定を請求できる。- ※その他障害に係わる初診日要件(障害基礎年金・障害厚生年金)及び保険料納付要件が必要です。
- ※初めから障害等級3級の障害厚生年金の受給権者には,年金改定額の規定は適用されません。
障害手当金(厚生年金)
障害手当金は、障害等級3級よりもやや軽い程度の障害が残った場合であって、次の要件を満たしたときに支給されます。
- 初診日に被保険者であること
- 初診日から起算し5年を経過する日までの間に治癒(症状が固定)していて、その障害の程度が政令で定める程度であること
- 保険料納付要件を満たしていること
障害手当金の額(平成22年度)
障害厚生年金の額(3級)の算式 X 100分の200(2倍)
※物価スライド率は計算の対象外
※最低保障額: 1,168,000円(平成22年度)
障害手当金の支給調整
障害の程度を定めるべき日(症状が固定した日)において下記のどれかに該当する方には障害手当金は支給されません。
- 厚生年金による年金給付を受給している受給権者
(ただし、障害等級に該当しなくなって3年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害等級に該当しない者に限って)を除く。) - 国民年金・各種共済(国家公務員共済等)による年金給付を受給している(ただし、障害等級に該当しなくなってから3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害等級に該当しない者に限って)を除く。)
- 労働基準法による障害補償・労災保険による障害(補償)給付・船員保険法による障害を支給事由とする給付及び国家公務員災害補償や地方公務員災害補償法などの障害補償を受ける権利を有している。
特別障害給付金
国民年金の任意加入期間に加入してなかったために受給資格を得ることができなかった方のために、障害基礎年金を受給できない障害者の方々に福祉的措置として「特別障害給付金」が支給されます。
- 支給の対象者
- 平成3年3月31日以前に国民年金任意加入の対象であった学生
- 昭和61年3月31日以前に国民年金任意加入の対象であった被用者(厚生年金・共済組合等の加入者)の被扶養配偶者
であって、任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在障害基礎年金の障害等級1級又は2級に該当する人。
※ただし、65歳に達する日の前日までに当該障害状態に該当した方に限られ、障害基礎年金や障害厚生年金、障害共済年金を受給することができる方は対象から除かれます。
- 支給額(平成22年度)
- 障害基礎年金1級に該当する方・・・・・・月額50,000円
- 障害基礎年金2級に該当する方・・・・・・月額40,000円
- ※所得制限あります。
- ※給付金は、請求月の翌月から支給されます。
- ※老齢基礎年金等が受給できるときは、全部又は一部停止されます。
- 請求の窓口
- 市町村役場
詳細は、こちら で確認下さい。
労災保険との併給調整
- 業務上や通勤途上の事由での死亡で労災保険から障害(補償)年金を受けている場合,障害基礎年金,障害厚生年金は全額受けられ,労災保険の年金額が減額調整(障害基礎年金・遺族厚生年金との併給は73%,障害基礎年金だけなら88%,障害厚生年金だけなら83%)される。
対象になる傷病と障害等級
障害年金の対象となる傷病及び障害等級を決める基準は、各制度で設定されています。それに基づき、障害状態の認定審査がされることになります。
主なる傷病及び障害等級表は、こちら でご確認ください。